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出産を控えて、あるいは生まれたばかりの赤ちゃんのために、「ミルクの水、どれを使えばいいの?」と調べている方。
育児おつかれさまです。
ネットで検索すると「水道水でいい」「いや浄水器が必要」「ウォーターサーバーが安心」と情報がバラバラで、かえって不安になりますよね。
そこで、2007年から水をキレイにする仕事をしている私が、忖度なしで結論からお伝えします。
結論:安全なミルクは「水道水」だけでも作れます。3つの違いは”安全性”ではなく、”手間とコスト”です。
日本の粉ミルクは、もともと日本の水道水で溶かすことを前提に作られています。
つまり、お金をかけなくても、正しい手順さえ守れば安全なミルクは作れるんです。
ただし「正しい手順」が少しだけ手間で、その手間をどこまでお金で買うか
というのが今回のテーマです。まずは早見表でざっくりつかんでください。
結論早見表|あなたに向いているのはどれ?
★安全性はどれも◎。違いは“安全”ではなく、ほとんどが“手間とコスト”です。ご家庭の状況に合わせて選んでください。
「お金をかけずに頑張れる人は水道水、夜間の負担を減らしたい人はウォーターサーバー」
大きくはこの理解でOKです。では、なぜそう言えるのか、プロの視点で中身を見ていきましょう。
赤ちゃんのミルクの水で本当に気をつけるべきことは、実はたった3つです。難しい話は抜きにして、ここだけ押さえれば大丈夫です。
① 赤ちゃんの体はまだ未熟|だから「軟水」を選ぶ
水には「硬度(こうど)」という、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの多さを表す数値があります。ミネラルが少ない水が「軟水(なんすい)」、多い水が「硬水(こうすい)」です。
赤ちゃんの腎臓や胃腸はまだ発達の途中で、ミネラルが多すぎる水を上手に処理できず、お腹を壊す原因になることがあります。
さらに、粉ミルクには赤ちゃんに必要なミネラルがすでにバランスよく配合されています。
なので、ミネラルが多い硬水を足してしまうと、かえって”過剰”になってしまうんですね。
目安は 硬度60mg/L以下の軟水。
ありがたいことに、日本の水道水のほとんどは軟水なので、水道水を使う分にはこの心配はほぼいりません。
注意が必要なのは、海外産の硬水ミネラルウォーター(コントレックスやエビアンなど)を使ってしまうケースです。
これは避けてください。
② 粉ミルクは「無菌」ではない|だから「70℃以上のお湯」で溶かす
ここが一番大切で、見落とされがちなポイントです。
実は、缶に入った粉ミルクは「無菌」ではありません。
ごくまれにサカザキ菌(クロノバクター)やサルモネラ菌という細菌が含まれていることがあり、
免疫の弱い赤ちゃんが感染すると、髄膜炎(ずいまくえん)など重い症状につながるおそれがあります。
これらの菌は 70℃以上のお湯で死滅 します。
だからWHO(世界保健機関)と厚生労働省は、「一度沸かしたお湯を、70℃以上のうちに使って粉ミルクを溶かす」ことを推奨しているのです。
ポイントは、70℃は”水”ではなく”粉ミルク”を殺菌するための温度だということ。
後ほど詳しく触れますが、これがあるので「浄水器やウォーターサーバーを使えば加熱しなくていい」という話にはならないんです。
※沸騰直後の100℃近いお湯をそのまま使うと、熱に弱い一部の栄養素が壊れることがあります。少しだけ冷ましてから(=70℃台で)溶かしましょう。
③ 水道水の塩素・トリハロメタン|「煮沸」か「ろ過」で対応
水道水には、菌を抑えるための塩素(カルキ)と、その塩素が水中の有機物と反応してできるトリハロメタンという物質がわずかに含まれます。
日本の水道水は厳しい基準で管理されており、大人がそのまま飲んでも健康上の問題はありません。
ただ、生後間もない赤ちゃんに使うなら、より安心のために取り除いておきたいところ。方法は2つです。
- 煮沸する:塩素は約5分、トリハロメタンは約10分以上の沸騰で抜けます。
- 浄水器・浄水型サーバーでろ過する:活性炭フィルターが塩素やトリハロメタンを吸着して取り除きます。
ここで水処理屋として一つだけ注意喚起を。
トリハロメタンは、加熱の途中で一時的に”増える”性質があります。
そのため、沸騰してすぐ火を止めると、かえって増えた状態のまま使うことに。
やかんや鍋では、フタを開けて沸騰後5分以上しっかり沸かし続けるのが正解です。
これが水道水を使うことの地味に大変なところなんですね。
なお、煮沸では鉛などの金属やPFAS(ピーファス)は除去できません。
お住まいの地域でPFASが気になる方は、対応した浄水器という選択肢もあります。
詳しくは >>【2026年版】PFAS除去できる浄水器の選び方とおすすめ製品 をご覧ください。
3つのポイントを踏まえて、それぞれの選択肢を正直に評価していきます。
もっとも安く、もっとも確実な”基本”です。
前述のとおり、日本の粉ミルクは水道水での調乳を前提に設計されています。
コストはほぼ水道代だけ。特別な道具もいりません。
弱点はただ一つ、毎回フタを開けて10分以上沸かす手間。
新生児期は1日に7〜8回の授乳があり、夜中もこれを繰り返すのは、正直かなりこたえますよね。
日中に湯冷まし(後述)をまとめて作っておく。
あるいは70℃保温ができる電気ポット・調乳ポットを併用すると、毎回沸かす負担はぐっと減らせます。
ただし通常の電気ケトルは沸騰したら止まってしまい、トリハロメタンを抜くには再沸騰の繰り返しが必要なので、その点だけご注意を。
蛇口やポットに付けるタイプの浄水器は、活性炭フィルターで塩素やトリハロメタンを取り除いてくれます。
これにより「トリハロメタンを抜くための10分煮沸」が不要になり、水道水ルートの一番の手間が軽くなります。
味やニオイ(カルキ臭)も改善するので、ミルク以外の日常使いにもOK。
ただし、浄水器を通しても、70℃の加熱は省略できません。
理由は「②粉ミルクは「無菌」ではない」で書いた通り、70℃は”水”ではなく”粉ミルク”を殺菌するため。
浄水は「水道水をキレイにする」役割で、「粉ミルクを殺菌する」役割ではないからです。
「浄水器だから煮沸不要」は、よくある勘違いなので気をつけてください。
コストは本体とカートリッジ代で月あたり数百〜1,500円ほど。
タイプ別の選び方は >>完全初心者のための浄水器の選び方ガイド
手軽な >>ポット型浄水器(ブリタ・クリンスイ・トレビーノ)徹底比較 も参考にしてください。
お金で「時短」と「安心感」を買う選択肢です。
最大の魅力は、80〜90℃のお湯がボタン一つですぐ出ること。
お湯を沸かす手間がゼロになり、温水で粉を溶かしたあと冷水・常温水で割れば、人肌まで一気に冷ませます。
夜中、泣いている赤ちゃんを抱えながらの調乳が劇的にラクになります。
水の種類は3つ。赤ちゃんには下記が向いています。
- 浄水型:自宅の水道水をフィルターでろ過。月額定額(3,300円前後)で使い放題。ボトル交換なし。
- RO水(純水):逆浸透膜という細かいフィルターで不純物をほぼ除去した水。ミネラルがほぼゼロですが、粉ミルク側にミネラルが入っているので問題なし。むしろ過剰の心配がなく安心です。
- 天然水:選ぶなら必ず硬度60mg/L以下の軟水を。硬度の高いものは避けてください。
選ぶときのチェックポイントは、
①軟水であること(浄水型は地域の水道水の硬度を確認)
②温水のチャイルドロック(やけど防止)
③UVや加熱による殺菌機能の3つ。
弱点はコストです。
浄水型で月3,300円前後、宅配型(天然水・RO水)だと使用量によって月5,000〜10,000円ほど。
安全のために”必須”ではない、というのは正直なところです。
あくまで「睡眠不足の負担をお金で軽くする」ための投資、と考えるのが正しい位置づけだと私は思います。

育児を少しでも楽にできると考えたら悪くない投資先だと思います。
赤ちゃん向けの具体的な機種は >>赤ちゃんのいる家庭にもおすすめ|浄水型ウォーターサーバー比較 で詳しく解説しています。
定額・ボトルなしで人気の機種は >>ハミングウォーターの口コミ・評判|後悔しない選び方 もどうぞ。
ここまでを踏まえて、ライフスタイル別におすすめをまとめます。
あなたはどれ?|タイプ別おすすめ
とにかく節約したい・里帰り中で道具が限られる
その日に使う分の湯冷ましや、調乳ポットの併用で毎回の手間を軽くできます。
水道水のニオイが気になる・ミルク以外にもキレイな水を使いたい
コスパよく水質を底上げ。料理や毎日の飲み水にも使えて便利です。
夜間授乳の睡眠不足を減らしたい・共働きで時短したい
お湯がすぐ出る安心感は、産後の体に効きます。夜中の調乳が一気にラクに。
完全ミルク育児で、お湯の消費量がとにかく多い
使う量が多いほど、定額制が結果的にラクで割安になることが多いです。
正解は一つではありません。今の体力と時間に余裕があるかで選んでOK。サーバーで乗り切るのも立派な選択です。

正解は人それぞれなので状況に応じて選んでみて下さいね。
どの方法でも使える役立つ、基本の調乳手順です。冷蔵庫に貼っておくくらいの気持ちで覚えておくと安心ですよ。
【保存版】水道水での正しいミルクの作り方
どの方法を選んでも役立つ、基本の調乳手順です。冷蔵庫に貼っておくくらいの気持ちで覚えておくと安心ですよ。
手を洗い、場所を清潔に
石けんで手を洗い、調乳する場所を清潔に。哺乳びんは消毒済みのものを使いましょう。
水道水を沸かす
やかん・鍋でフタを開けて、沸騰後さらに10分以上。塩素とトリハロメタンを飛ばします。
少し冷まして70℃以上に
沸騰直後の熱すぎるお湯は避け、70℃台にしてから使います。
粉ミルクを溶かす
できあがり量の3分の2ほどのお湯を入れ、粉をしっかり溶かします。
「湯冷まし」を足して調整
規定量まで湯冷ましを加えると、温度調整と時短が同時にできます。
人肌に冷ます
36〜37℃を目安に、哺乳びんを流水や氷水に当てて冷まし、腕の内側に数滴たらして温度を確認。
2時間以内に飲ませる
作ったミルクは2時間以内に。飲み残しや作り置きは雑菌が増えるので与えないでください。
「湯冷まし」とは?
一度沸騰させた水道水を冷ましたもの。塩素もトリハロメタンも抜けていて安心です。ただし塩素が抜けると雑菌が増えやすくなるので、作り置きは避け、その日のうちに使い切りましょう。
最後に、よく聞かれる”誤解”を正しておきます。ここを知っておくと、ムダなお金や手間を使わずにすみますよ。
プロが教える|よくある勘違いと正解
いいえ。70℃は“粉ミルクの中の菌”を殺すための温度です。水をキレイにすることとは別問題なので、温水(70℃以上)は必ず使ってください。
問題ありません。必要なミネラルは粉ミルク側にすでに入っています。むしろミネラルが少ない水のほうが過剰の心配がなく、調乳に向いています。
軟水だけです。海外産に多い硬水は赤ちゃんの負担になるので避けてください。国産でも、購入前に硬度(できれば60mg/L以下)を確認しましょう。
長時間の作り置きはNG。塩素が抜けた水は雑菌が増えやすいので、湯冷ましもその日のうちに使い切りましょう。
迷ったら、お使いの粉ミルクの表示が最優先。気になる点は小児科医や保健師さんにご相談くださいね。
よくある質問|FAQ
水道水と純水(RO水)、赤ちゃんにはどちらがいい?
どちらも軟水で安全です。手間とコストをかけたくないなら水道水(煮沸)、ミネラルの過剰を一切気にしたくないなら純水(RO水)でOK。安全性に大きな差はありません。
ウォーターサーバーのお湯(70〜75℃のエコモード)でも、ちゃんと殺菌できる?
できます。サカザキ菌もサルモネラ菌も70℃以上で死滅するため、エコモードの温水でも安全に調乳できます。冷ます時間が短くなる分、むしろ便利です。
電気ケトルで沸かしたお湯ではダメ?
お湯としては使えますが、一般的なケトルは沸騰すると止まるため、トリハロメタンが十分に抜けないことがあります。気になる場合は、再沸騰を数回くり返すか、浄水した水を使いましょう。
赤ちゃん用の特別な水を買う必要はある?
必須ではありません。「軟水であること」を満たせば、水道水でも市販の軟水でも大丈夫。“赤ちゃん用”の高価な水でなくても、正しく作れば安全です。
気になる点は、お使いの粉ミルクの表示を確認のうえ、小児科医や保健師さんにもご相談くださいね。
長くなったので、最後にぎゅっとまとめます。
- 赤ちゃんのミルクの水で大事なのは、①軟水 ②70℃以上で殺菌 ③塩素・トリハロメタン対策の3つだけ。
- 安全なミルクは水道水(10分煮沸)だけで作れます。 お金をかけなくても手間をかければ可能です。
- 浄水器は「煮沸の手間を軽くする」、ウォーターサーバーは「お湯を沸かす手間そのものをなくす」ための選択肢。どちらも”安全の上乗せ”というより”ラクさへの投資”です。
- 睡眠不足でへとへとな時期だからこそ、「お金で時間と体力を買う」のも正解。ご家庭の状況に合わせて選んでください。
なお、粉ミルクの調乳方法はメーカーや製品によって細かな指定がある場合があります。
最終的にはお使いの粉ミルクの表示に従い、気になる点は小児科医や保健師さんに相談してくださいね。

あなたと赤ちゃんの毎日が、少しでもラクで安心なものになりますように。


